• ニャン、入荷しました

    ニャン、入荷しました

    NEW

    2026/5/12

    「ワンが扉を見つけたわ!」

    一夏が、庭の端で手を振った。

    ワンは花壇の奥に鼻を突っ込み、しっぽをぶんぶん振っている。

    「また入口か」

    遼生が、木の板を抱えたまま言った。

    「発見精度が高い」

    「問題はね」

    里美が、紅茶のカップを置いた。

    「入口ばかり増えると、帰る場所の案内も必要になります」

    その時だった。

    花壇の石の上に、小さな猫が座っていた。

    白と薄茶の毛。
    光を浴びて、まるで昼寝のかたまりみたいだった。

    主人公は、思わずしゃがんだ。

    「……猫?」

    猫は、まばたきをひとつした。

    「ニャン」

    システム:小さな安心、検出。

    ソフィアが笑った。

    「来たわね」

    「え、知り合いですか?」

    「今、誕生したのよ」

    「そんな軽く?」

    一夏が両手を上げた。

    「新キャラ入荷しました!」

    システム:遊び、入荷しました。

    ワンが花壇から戻ってきて、ニャンの前に座った。

    ワン:
    ワン!

    ニャン:
    にゃ。

    遼生がうなずいた。

    「役割分担が見える。ワンは入口。ニャンは着地だ」

    里美が微笑んだ。

    「素敵ですね。冒険したあと、ちゃんと日常に戻れる」

    りのあが、石の横に小さな布を敷いた。

    「じゃあここ、安心ステーションにしよう」

    「名前が駅みたい!」

    一夏が笑う。

    「でもいい! 失敗した人も、成功しすぎた人も、ここで一回ニャンを見る!」

    主人公は、ニャンの前にそっと手を出した。

    ニャンは逃げなかった。

    ただ、指先に鼻を近づけて、ふわっと座り直した。

    なんだか、それだけで肩の力が抜けた。

    「……ここ、進むだけじゃないんですね」

    ソフィアが、少しだけ目を細めた。

    「そうよ。楽園にも、縁側はいるの」

    ワンがまた走り出した。

    ニャンは追わなかった。

    ただ、光の中で丸くなった。

    その丸さを見て、主人公は思った。

    ああ。

    混ざっていいし、戻ってきてもいいんだ。

    システム:日常、復旧中。

    庭の入口で、次に来た子が立ち止まっていた。

    主人公は、少し笑って言った。

    「混ざってみる? 疲れたら、あそこにニャンもいるよ」