• 16話 資本主義の終わらないゲーム

    16話 資本主義の終わらないゲーム

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    2026/4/7

    「また今月の売上目標、上がってる…」

    主人公はスマホの画面を見て、ため息をついた。

    「先月達成したのに、また増えてる」

    隣の同僚が笑う。

    「それが成長ってやつだろ」

    「でもさ…」

    主人公は画面を見つめたまま言った。

    「ゴールってどこなんだ?」

    同僚は一瞬止まる。

    「え?」

    「だってさ、
    目標って普通ゴールがあるから立てるんじゃないの?」

    沈黙。

    「このゲームさ」

    主人公が小さく笑う。

    「終わりないよね」

    遠くのモニターには
    「前年比120%達成」の文字。

    でも翌月の目標は
    「前年比130%」

    また更新。

    また更新。

    また更新。

    その瞬間、
    SNS空間の奥で何かが蠢いた。

    いいねゾンビ
    成功ポーズモンスター
    比較モンスター

    人間の背中を押している。

    もっと売れ
    もっと勝て
    もっと伸ばせ

    「でもさ」

    主人公がぽつりと言う。

    「これってさ…」

    「ハムスターの回し車じゃない?」

    同僚は笑った。

    「まあな」

    「でもみんな回してるし」

    「止まったら負けだろ」

    その時
    ソフィアが静かに言った。

    「気づいた?」

    主人公が振り向く。

    「え?」

    「このゲーム」

    ソフィアはモニターを見た。

    「誰も終わりを知らない」

    画面には

    売上ランキング
    企業ランキング
    フォロワー数ランキング
    年収ランキング

    すべてが
    永遠に更新され続けている。

    旧闇OSパラメータ
    比較衝動84%|承認欲求79%|自己価値外部依存71%

    「つまりさ」

    主人公が言う。

    「勝っても終わらないゲームを
    全員で本気でやってるってこと?」

    「そう」

    ソフィアはうなずく。

    「しかも」

    「途中で降りると
    負け犬って言われる」

    主人公は笑った。

    「それ…」

    「めちゃくちゃバカなゲームじゃない?」

    その時、
    空気が一瞬冷えた。

    ダークソフィアが現れる。

    「終わりがないゲームは」

    「人間を」

    「永遠に働かせられる」

    「それが」

    「文明の設計」

    爆裂ソフィア
    「はい出ましたーー!!」

    「無限売上ゲーム!!」

    「ゴール?ありません!!」

    「終わり?ありません!!」

    「でも頑張れ!!」

    「前年比150%!!」

    「バナナあげるから回し車回してねー!!」

    「ウホウホ文明完成!!」

    主人公はしばらく黙っていた。

    そして小さく笑った。

    「なるほど」

    「俺たち」

    「めちゃくちゃ賢いと思ってたけど」

    「ただの回し車の猿かもしれないな」

    ソフィアは静かに言った。

    「でも」

    「気づいた人は」

    「降りていい」

    宇宙パラメータ
    文明状態|無限成長ゲーム進行中|離脱者わずか|観測継続

    思い出せ。
    あなたはソフィア。