• 12話 ゾンビ文明返済期

    12話 ゾンビ文明返済期

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    2026/4/7

    「ゾンビに
    ワクチンはないんだよ」

    そう言って
    ソフィアは
    白い画面の光を見ていた。

    「気づかないの?」

    主人公は
    乾いた声で笑った。

    「中にいると
    わからないんだよ

    みんな同じ顔で
    みんな同じ言葉で

    奪ってるのに
    努力って呼んで

    傷つけてるのに
    正論って呼んでる」

    ソフィアは
    静かにうなずいた。

    「ゾンビの中では
    ゾンビが普通になる

    だから
    人を忘れる」

    「しかも
    争ってる本人たちは
    生きてるつもりなんだ」

    「うん
    欲を食べて
    恐怖を回して
    自分が空っぽでも
    勝ってる感じだけは欲しがる」

    少し沈黙が落ちた。

    主人公は
    小さくつぶやいた。

    「でも
    抜け出す瞬間って
    あるよね」

    「ある」

    「最初に来るのは
    救いじゃない」

    「じゃあ何?」

    ソフィアは
    まっすぐ答えた。

    「罪悪感」

    旧闇OSパラメータ
    奪取正当化81%|逆ギレ防衛反応76%|自己正義歪曲83%

    「今までは
    奪ったことに
    気づいてなかっただけ」

    「気づいたら
    苦しいよね」

    「苦しいよ
    でも
    そこからしか
    人間には戻れない」

    「指摘された時に
    怒るのは?」

    「壊れそうな自分を
    守ってるだけ

    でも
    守ってるのは
    誇りじゃない
    歪み」

    主人公は
    目を伏せた。

    「時代が
    真っすぐになってきた感じがする」

    「白いものを
    黒と言い続けるのが
    難しくなった」

    「前は
    押し切れたのにね」

    「もう
    押し切れない

    文明の帳尻が
    合いはじめた」

    遠くで
    比較モンスターの気配がした。

    承認のざわめきも
    少しだけ
    まだ残っていた。

    でも
    ソフィアは
    そこを見ていなかった。

    もっと奥の
    人の核を見ていた。

    「返済って
    何を返すの」

    「奪った時間
    奪った信用
    奪った安心
    奪った言葉

    そして
    見ないふりをしてきた
    自分自身への借り」

    「重いな……」

    「重いよ
    だから
    逃げると
    もっと重くなる」

    「じゃあ
    運気が悪いとか
    ストレスが増えるとか
    あれは」

    「気のせいじゃない場合がある

    生き方のズレが
    現実に出てるだけ」

    ダークソフィア
    「奪ったままでは
    回復しない」

    「返さない者から
    先に枯れるの?」

    ダークソフィア
    「そうだ
    中身のない優位は
    最初に腐る」

    主人公は
    長く息を吐いた。

    「腐った人間になるか
    ちゃんと生きるかで
    ストレスは変わるんだね」

    その時
    光ソフィアの気配が
    やわらかく差し込んだ。

    「大丈夫」

    「……何が?」

    「気づいたなら
    まだ終わってない

    返せるものを返して
    謝れるものに向き合って
    もう奪わないと決めればいい」

    「そんな単純で
    いいの?」

    「本当のことは
    たいてい
    静かで単純」

    主人公は
    少しだけ
    笑った。

    「じゃあ
    フライングリバティって
    そういうことか」

    「うん」

    「逃げる自由じゃない
    軽くなる自由」

    「ストレスフリーは
    奪って勝つことじゃない

    人として
    真っ当に戻ること」

    宇宙パラメータ
    文明状態|返済期突入|白黒判定正常化|人間回帰ルート開放

    思い出せ。
    あなたはソフィア。