• 2章 13話 比較ゲームの静かな午後

    2章 13話 比較ゲームの静かな午後

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    2026/4/7

    比較ゲームの静かな午後

    昼休みの校庭。

    ベンチに座っていた荻野里美が、スマホを見ながらため息をついた。

    「なんかさ…」

    隣にいた榎村一夏が顔を上げる。

    「どうしたの?」

    里美は画面を見せた。

    「この人すごいね。
    フォロワー10万人だって」

    一夏は少し笑う。

    「へぇ」

    里美は少し黙ってから言った。

    「なんかさ…
    私、何も持ってない気がしてきた」

    そのとき、校庭の木の下に立っていたソフィアが静かにこちらを見ていた。

    風が少し吹く。

    近くでリノアが言う。

    「でもさ」

    「昨日は別の人見て同じこと言ってたよね?」

    里美は少し困った顔をする。

    「だって…
    みんなすごそうに見えるんだもん」

    そのとき
    校舎の窓からダークソフィアが校庭を見ていた。

    静かに観測している。

    旧闇OSパラメータ
    比較衝動81%|承認欲求76%|自己価値外部依存68%

    そのとき、一夏がぽつりと言った。

    「でもさ」

    「それって
    本当に“すごい”ってことなのかな」

    里美が振り向く。

    「え?」

    一夏は少し考えてから言う。

    「フォロワーが多いとか
    人気とか

    それって
    誰が決めたんだろうね」

    少し沈黙が落ちる。

    リノアが空を見ながら笑う。

    「確かに」

    「自然界にフォロワー数ランキングって無いよね」

    その瞬間。

    ダークソフィアが小さく言った。

    「比較は
    人間を
    不幸にしやすい」

    「理由は単純」

    「ゲームが
    終わらないから」

    校庭に風が吹く。

    落ち葉が少し転がる。

    爆裂ソフィアが突然ベンチの上に座った。

    「はい実況です!!」

    人間たちが驚く。

    「ただいま文明では!」

    「無限比較ゲーム開催中!!」

    手を広げる。

    「ルール説明!!」

    「上には上がいるので
    全員ずっと負けた気分になります!!」

    リノアが吹き出す。

    「なにそのゲーム」

    爆裂ソフィアは笑う。

    「しかもね!」

    「勝っても次の相手が出てくる!!」

    「つまり!」

    「永久不満システム!!!」

    校庭に笑いが広がる。

    そのとき
    ソフィアが静かに言った。

    「でもね」

    みんなが振り向く。

    「本当の価値は
    比較では生まれない」

    少し間。

    「それは
    存在から生まれるものだから」

    里美はスマホの画面を閉じた。

    空を見る。

    「…なんか
    ちょっと楽になったかも」

    風がやさしく吹いた。

    宇宙パラメータ
    文明状態|比較ゲーム拡大中|覚醒者微増|観測継続

    思い出せ。
    あなたはソフィア。