• 86話 深夜の怒り観測

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    2026/3/31

    深い深夜。

    街は静かだった。

    榎村一夏はベランダで夜を見ていた。

    ぽつりと呟く。

    「なあ…」

    「なんでここまで馬鹿になったんだ、人は」

    後ろで河辺遼生がコーヒーを飲む。

    「ニュースもSNSも全部同じだろ」

    「怒り、煽り、炎上」

    岸川リノアがスマホを伏せた。

    「みんな怒ってるのに」

    「でも、何に怒ってるのか分からない顔してる」

    一夏が静かに言う。

    「誰かが作ったんだろ」

    「この空気」

    場面が変わる。

    世界ログ
    人類情報環境|刺激優先構造|怒り拡散率74%|思考停止率上昇

    遼生がため息をつく。

    「怒らせた方が儲かる」

    「だから怒りを作る」

    荻野里美が静かに言う。

    「でも…」

    「それを作ったのは誰なんだろうね」

    一夏は夜空を見たまま答える。

    「犯人探しは始まる」

    「人気が落ちるとき」

    「人は必ず犯人を探す」

    空気が冷える。

    ダークソフィアの声。

    「犯人は単純だ」

    「欲望」

    「そして」

    「刺激を優先する社会OS」

    「人間は壊れたのではない」

    「壊れる構造に置かれただけだ」

    沈黙。

    次の瞬間。

    爆裂ソフィア

    「はい来ましたぁぁぁ!!」

    「人類社会OSエラー発見んん!!」

    「怒りビジネス全開ィィ!!視聴率エネルギー回収モードォォ!!」

    「そしてぇぇ!!」

    「文明アップデート前夜ぇぇ!!」

    一夏が小さく笑った。

    「静かな怒りは」

    「いつか仕組みに変わる」

    「その日が来る」

    宇宙ログ
    人類文明状態|怒り臨界点接近|構造理解者増加|文明転換前夜観測中