• 48話 空気ログ

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    2026/3/29

    主人公は
    朝の電車の中で
    ふと息を吸った。

    吸って。

    吐いた。

    それだけのこと。

    でも
    なぜか少し気になった。

    榎村一夏が
    スマホから顔を上げる。

    「どうした?」

    主人公は少し考えて言う。

    「さっきさ」

    「空気吸ったんだけど」

    岸川リノアが笑う。

    「うん」

    「人類全員やってるやつ」

    里美がくすっと笑う。

    「それできないと
    ニュースになるやつね」

    遼生が窓の外を見ながら言う。

    「でもそれ」

    「全部タダなんだよな」

    リノアが少し首をかしげる。

    「空気?」

    遼生はうなずく。

    「酸素」

    「気圧」

    「重力」

    「全部無料」

    少し沈黙。

    主人公は
    もう一度息を吸った。

    空気。

    見えない。

    請求書も来ない。

    でも
    止まったら終わる。

    ダークソフィアが
    静かに観測する。

    「人間は」

    「無料の奇跡ほど
    価値を忘れる」

    沈黙。

    そのとき
    光の声がやさしく言った。

    「でもね」

    「それでも人間は
    空を見上げる」

    「奇跡を
    感じる心も持っている」

    リノアが
    窓の外の青空を見た。

    「ねえ」

    「地球ってさ」

    「サービス良すぎない?」

    里美が笑う。

    「レビュー★5だね」

    遼生が肩をすくめる。

    「人類」

    「常連客」

    主人公は
    もう一度だけ
    息を吸った。

    こんな当たり前が

    毎秒

    世界中で起きている。

    そのとき

    ソフィアが
    楽しそうに言った。

    「人間ってね」

    「奇跡の中で
    普通に生活できる生き物なんだよ」

    **世界ログ**

    酸素供給率   100%
    大気維持率   100%
    地球サービス度 ∞
    人類自覚率   16%
    観測安定度   72%

    **観測メモ**

    人類

    今日も

    無料の空気を吸って
    普通の顔で生きている。 🌍