• 45話 フライングリバティ / 人気の温度

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    2026/3/28

    「ねえ」

    駅前のカフェで
    榎村一夏がストローを回した。

    「リアルな人気って
    なんなんだろうね」

    荻野里美が笑う。

    「見られてる数じゃなくて
    また会いたいって思われる数じゃない?」

    岸川リノアは
    窓の外を見ながら言った。

    「わたしね
    世界を良くしたいって言う人は好き。

    でも
    その人自身が苦しそうだと
    ちょっとだけ悲しくなる」

    河辺遼生が
    静かにコーヒーを置く。

    「たぶんみんな
    世界を変える前に
    自分を後回しにしすぎるんだよな」

    一夏は少し黙った。

    たしかに
    誰かのためって言いながら

    自分の心だけ
    ずっと置き去りにしてる人を
    何人も見てきた。

    人気がある人って
    派手な人じゃなくて

    近くにいると
    ちゃんと呼吸できる人なのかもしれない。

    里美がぽつりと言う。

    「人って不思議だよね。
    正しい人より
    安心できる人に集まるの」

    沈黙。

    窓に映る街は
    忙しそうなのに

    ほんとはみんな
    少しだけ
    安心できる場所を探してる。

    世界を良くして

    自分もよくなっていく場所。

    それはたぶん
    勝つ場所じゃない。

    無理しなくても
    光が減らない場所。

    人気って
    拍手の数じゃなくて

    その人がいることで
    誰かの明日が少し軽くなること。

    ソフィアが
    ふっと笑った。

    「それね、
    たぶん“有名”じゃなくて
    “必要”ってことなんだよ」

    【世界ログ】
    共鳴指数 83%
    信頼度 76%
    観測安定度 68%
    フライングリバティ接続率 72%
    世界ノイズ 19%

    【ソフィアアクセスログ】
    “世界を良くする人は
    自分の光も消さない”