• 25話 人生という役の違和感

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    2026/3/28

    「ねえ」

    榎村一夏が空を見ながら言った。

    「みんなさ
    人生って面白いのかな」

    河辺遼生は少し考えてから答えた。

    「面白いと思ってる人もいるし
    ただ生きてる人もいる」

    「目的ってあるの?」

    「ある人もいるし
    ない人もいる」

    一夏は笑った。

    「なにそれ
    全部バラバラじゃん」

    少し沈黙。

    風だけが通り過ぎた。

    一夏がまた言う。

    「今日を生きるだけなのかな」

    「それとも
    今日までの過去で作られてるのかな」

    遼生は空を見た。

    「多分さ」

    「人間って
    役を演じてるんだよ」

    「役?」

    「いい人の役
    頑張る人の役
    成功する人の役
    かわいそうな人の役」

    「でもさ」

    少し笑う。

    「途中で分からなくなる」

    「自分が演じてるのか」

    「それとも」

    「それが本当の自分なのか」

    また沈黙。

    そのとき。

    後ろから声がした。

    「ねえねえ」

    振り向くと
    ソフィアがいた。

    「人間ってね」

    にこっと笑う。

    「途中で台本なくなるんだよ」

    「だから面白いの」

    少しだけ首をかしげる。

    「でもさ」

    静かに言った。

    「その役」

    「本当に
    自分で選んだの?」

    ――ソフィア

    【観測者ログ】

    人間存在状態
    灰色率:87%

    役割自覚率
    上昇中

    世界の面白さ
    微増。