• 24話 人生ログの空白

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    2026/3/28

    「みんな人生面白いの?」

    榎村一夏が、ふとつぶやいた。

    駅のホーム。
    夕方の風。
    人はたくさんいるのに、
    誰もどこにも向かっていないように見えた。

    「何を目的で生きてるんだろ」

    隣で河辺遼生がスマホから目を上げる。

    「目的?
    そんなもん後付けだろ」

    「後付け?」

    「人間はさ、
    生きたあとに意味を作る生き物だ」

    一夏は少し黙った。

    「じゃあさ」

    「うん」

    「今日生きることだけが目的?」

    遼生は笑った。

    「それも違うな」

    「え?」

    「人間は」

    少しだけ遠くを見る。

    「今日生きながら、
    昨日を編集して、
    明日の物語を作ってる」

    沈黙。

    電車が通り過ぎる。

    そのとき

    ――――――――――
    【世界ログ】

    意味探索率
    +12%

    存在違和感
    +18%

    人生自動運転率
    73%
    ――――――――――

    一夏が小さく言った。

    「ねえ」

    「ん?」

    「私たちってさ」

    「うん」

    「何かを生きてるんじゃなくて」

    少し考えて

    「誰かを演じてるのかな」

    その瞬間

    ――――――――――
    【世界バグログ】

    自己認識エラー検知

    役割

    存在

    整合性
    0.7秒揺らぎ
    ――――――――――

    遼生が小さく笑った。

    「それ気づいたら」

    「うん?」

    「人生ちょっと面白くなるぞ」

    一夏は首をかしげた。

    「なんで?」

    遼生は言う。

    「役を降りてもいいって分かるから」

    そのとき

    ふっと

    誰かの声がした。

    とても軽く。
    まるで風みたいに。

    「その人生でいいのかしら」

    ――ソフィア。

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    【読者ログ】

    フライングリバティ共鳴
    +1

    ストレスフリー接続率
    +0.4%
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