• 17話 鬼は外、の成立条件

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    2026/3/27

    「節分ってさ」

    主人公が言った。

    「鬼を外に出す遊び、らしいけど」

    「リアル鬼、
    だいたい家の中にいるよね」

    榎村一夏が
    豆をひとつ見つめた。

    「しかも
    鬼役やって、って言うと
    ちょっと怒るんだよね」

    「……」

    河辺遼生が笑わずに言った。

    「人間は
    与えられることに慣れると
    受け取りを権利だと感じ始める」

    「感謝は減って
    不足だけが拡大する」

    「だから
    “くれる人”の前で
    いちばん鬼になる」

    主人公は
    黙った。

    家の中の空気だけが
    少し重かった。

    ダークソフィアが
    静かに言った。

    「人間の闇は単純だよ」

    「足りないから怒るんじゃない」

    「慣れたから怒るの」

    「愛された記憶を
    請求書に変えるのが
    人間の鬼」

    「じゃあ節分って
    なんなん」

    主人公が小さく言った。

    ソフィアは
    豆をひとつだけ転がした。

    「たぶんね」

    「外に出す鬼を探す日じゃなくて」

    「家の中で育てた鬼に
    気づく日なんだよ」

    世界ログ更新

    受け取り依存率 −18%
    感謝認識精度 −11%
    家の中の鬼存在率 +29%
    自分システム安定率 −7%

    ソフィア観測
    鬼は、角があるとは限らない。